かえつ有明中・高等学校
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三島良直東京工業大学 学長人間にとって有用な技術創造のために必要な素養小畑 東工大には本校卒業生が1年と3年と4年に在学しています。今後ますます東工大への進学者も増えていくものと思っています。三島 これからは大学入試も変わりますが、かえつ有明のような教育は追い風になるのではないでしょうか。小畑 三島先生には先ず、今後の日本の大学教育のあり方についてお伺いしたいと思います。東工大は日本を代表する理工系総合大学ですが、ものづくりという観点で見ると、これからの日本はどのようにあるべきとお考えですか。三島 日本製品のいいところは、隅々まで手を抜かずにものづくりをして、性能もいい。しかも製品にばらつきがありません。そこは日本のお家芸ですね。私の専門分野は金属材料ですが、たとえばシベリアや北極海のような極寒の地域でも破損しない石油掘削用のパイプを作るような技術は他国の追随を許しません。しかし近年はコストを下げなければ競争できないという辛さがあります。小畑先生はどのようにお感じですか?小畑 私が気がかりなのは情報系の技術です。たとえば、日本はロボットの先進国ですが、実社会の中で活躍できるようなロボットを、日本は他国に負けずに開発できるだろうかという憂慮があります。三島 まさにそうですね。スマートフォンの中の部品のほとんどが日本製なのに、日本人はスマートフォンを作ることができなかった。人間にとって必要なロボットを作るためには、工学系の知識だけでなく、社会科学、あるいは人文科学的な素養も必要です。しかし日本の科学者やエンジニアは、製品の機能を一生懸命追究する傾向にあります。小畑 そのあたりは、教育の視点に課題がありそうですね。文系と理系が分断されない教育体系が生まれていたら、日本の携帯電話も「ガラパゴス携帯」にはならず、世界に先んじたスマートフォンになっていたかも知れません。三島 そうですね。日本では、子どものときから一定の価値観を押し付けられているような気がします。たとえば「優秀なお子さんですね」と言えば、それは学校の成績がいいという意味です。「標準的にはこうあるべきだ」という価値観があって、それ以外の発想をすると、「あの子は変わっている」となってしまう。また、大学受験となれば、理系は数学と物理を頑張ればいい、あとは偏差値を見て、自分が合格できる大学はどこか?という発想です。そこをなんとか変えたいと思って、東工大でも教育改革を進めているところです。大切なのは「評価される発言」ではなく「自分はどう思うか」である創る未来を語るMISHIMA YOSHINAO School Concept Book 2018 1111

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